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「ふうん」
「ふむ」
「ほう。元気だね。ハッパでやられたかね」
「いや、――わしはそんなこたあ嫌ひだ」
「おい、ビールは冷やしてあるかい」
我々はそれから「き」の字橋まで口をきかずに歩いて行ゆきました。……
と、練吉は急いで云つた。
これは怪談どころか、一種の美談であるが、その事情をなんにも知らないで、暗い風呂場で突然こんな人物に出逢っては、さすがの柳沢権太夫もぎょっとしたに相違ない。元来、温泉は病人の入浴するところで、そのなかには右のごとき畸形や異形の人もまじっていたであろうから、それを誤り伝えて種々の怪談を生み出した例も少くないであろう。
二
が、ひどく不機嫌になつた時にはこの円味が消えてしまひ、あのどぎつい部分々々がばらばらに突出し一層強くなるやうに感じられる瞬間がある。それは理由なく盛子を恐怖させるものであつた。
練吉は盃を口にふくみながら答へた。
練吉はもうさつきから殆ど一人でぐいぐいやつているにもかゝはらず、むしろ青い顔だつた。
半シャツの男が進み出た。
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